Blog No.6 2023/10/29
テーマ6:はみ出した光
発信者:加藤辰彦
プロフィール
さて、このテーマですが、内容がマニアックなのでフロントページの PHOTO SHOOTに出そうか、このブログコーナーにするか迷っていたのですが、絵画展の画家さんたちとこの話をしている内に、できるだけ多くの人に読んで頂きたい、と思う様になり、結局ブログコーナーにしました。
何のことはない、撮影した光が、フィルムの隣のコマにはみ出した・・・ということなんですが、フィルムカメラマンとしてはこれはえらいことなんです。
もうどれだけ撮ったかわからないくらいフィルムによる撮影をしましたが、こうゆう現象に遭遇したのはこの時だけです。
とびらの写真は、2013年10月13日、山梨県長坂の長坂湖というため池にて撮影したものです。カメラはニコンF6、レンズはカールツァイスZF35mmF2、逆光に強い組み合わせです(フロントページのPHOTO SHOOT「逆光に強い組み合わせ」 参照)。この頃、この組み合わせがかなり逆光に強いことに気づき、やたらに太陽を入れた写真を撮っていました。
下のコマが25コマ目、上のコマが26コマ目です。下を撮った直後に上を撮ったという順番です。下のコマを撮る時、ため池水面と太陽を同時に入れようとして縦構図でアングルを探しました。私は単焦点主義者なので、この時は35mm(程よい広角レンズ)で頑固にその構図を探したのです。10年前ですがよく覚えています。体をひねりながら撮り、画面の端すれすれに太陽が入りました。その結果、このような光漏れ写真になってしまいました。
隣のコマに光が漏れるなんて聞いたことがありません。よく分かるように、その部分を拡大しました(以下の写真)。これを見ると、確かに漏れています。
カメラの中では、フィルムは圧着板で押さえつけられていますので、これは薄いフィルムの層の中を光が浸透したとしか思えません。「そんなところから光が入り込むかな? 太陽を画面の端スレスレに置いたので、光が角度を持って入るようになり浸透したのかもしれない。」 と思いまして、実際の光の角度がどうなっていたかを、簡単に図にしてみました。
ニコンF6の画面の長辺は36mmです。この時のレンズ焦点距離は35mmですので、実際に入り込む光線は下図の矢印のようになります。
しかし、これを見ても、薄いフィルム層に光が入り込むような角度があるとは思えませんね。
まあ、そうは言っても実際に起きたんですから漏れるんですねきっと。でもこれはえらいことで、光を被ったシーンが世紀の大傑作だったら大変です。幸い私の26コマ目は駄作でしたので後悔はありませんでしたが。
この事があってから、太陽を画面に入れて撮影する場合、端っこギリギリに太陽を置かないようになりました(もちろん、フィルムカメラの場合です)。
以 上
ひろりあん さん
ホントにあるんですね。
フィルムは薄くても、中で乱反射がおきるんでしょうかね。
撮影者には嫌なことかもしれませんが、場所も時間も越えて映り込むなんて、なんだかロマンティックな現象です。
K.Tatsuhiko
ひろりあんさん、コメントありがとうございます。
なるほどそうなんですね、この光漏れでカリカリするんでなく、ロマンティックな・・・と、ゆったりと捉える。
考えてみると、こんな現象はデジタルでは起きようがなく、フィルムの特権ですね。
フィルムカメラってこんなことが起きるんだぞ、と前向きに考えるようにします。
(加藤辰彦)